太陽光発電の未運転問題

このページでは、未運転・未稼働の太陽光発電についての問題点や措置などについてご説明します。

太陽光発電を取りまく現在の環境

太陽光発電パネル

太陽光発電は、東日本大震災以降特に関心と注目が高まった発電設備で、震災後は普及率がグッと高まってきています。そんな中で、太陽光発電を取り扱う事業者の数も大きく増えてきて、太陽光発電は以前よりもはるかに身近な存在となりました。

しかし、そんな太陽光発電の急速な普及の中で、問題も出てきました。太陽光発電を取り扱う業者の中に「太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)の認定を受けているにもかかわらず、すぐに建設に着手しようとしない」という姿勢をとる業者も出てくるようになったのです

そして最近になって、こうした業者による未運転・未稼働の太陽光発電が特に大きく問題視されるようになってきたため、国はそれに対する措置を本格的に検討することとなりました。未運転・未稼働の太陽光発電は何が問題なのか、その問題に対してどういう措置がとられることになるのか、それについてこれから詳しくご説明します。

未運転・未稼働の太陽光の問題点

太陽光発電が未運転・未稼働の状態であることの何が問題なのかというと、これは太陽光の買取価格が大きく関係しています。

「事業用太陽光買取価格が高かった2012年度~2014年度の3年間に認定を受け、その高い買取価格を確保したまま、認定を受けてもすぐに工事に着手することなく、太陽光パネルの価格下落を待って投資額を抑え、太陽光発電による利ザヤをより大きく拡大させようと狙っている」という事態になっている点が、今大きく問題視されているのです。

固定価格買取制度(FIT)が抱える問題

太陽光発電による電力の高額な買取費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」や「省エネ発電促進賦課金」といった名目で、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によって、電力会社が電力の買取りに要した費用を、電気の使用量に応じてお客側に負担を課しています。

つまり太陽光発電を導入していない消費者側から見れば、「太陽光発電の売電価格が高すぎるために、こちらの料金負担が重くなってしまっている」という状態なのです。太陽光発電の買取価格自体は年々下がってきていますが、現状では、稼働を始めた時期で買取価格が決められるのではなく、「認定を受けた段階での価格が適用される」という流れになっています。

ですから、高買取価格の権利だけを確保しておき、太陽光発電設備のコストがさらに下がるのを待つ業者が多ければ多いほど「そうした業者だけがどんどん利ザヤを稼いで儲かり、消費者側は太陽光発電の高い負担を押しつけられる」ということになり、これが大きな問題だと見なされるようになったのです。

未運転の太陽光発電に対する厳しい風向き

それまで、こうした問題が消費者レベルに大きくクローズアップされる機会はそれほど多くなかったのですが、2018年10月1日に、FIT価格を議論する「調達価格算等算定委員会」が開かれ、そこでこの問題が大きく取り上げられました。

この委員会では、未運転・未稼働の太陽光発電が抱える売電価格の問題提起のみならず、さらにその先の措置について踏み込んだ意見が出たことで、ニュースやネット媒体などでも取り上げられ、この問題が世間に広く認知されるようになったのです。

そして、2018年10月15日に資源エネルギー庁が発表した「既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応」によると、「未稼働案件は国民負担を増やしかねない」「国民が知るために水面下ではなくオープンな場で議論することが必要」「未稼働案件が一定の時間が経っても失効せず運転開始時に高い買取価格が適用されることはFIT制度の趣旨に大きく反する」などの意見が寄せられています。[注1]

つまり、「太陽光未運転に対しての見方が、一気に厳しい風向きになった」ということです。

[注1]経済産業省 資源エネルギー庁:既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応[pdf]

未運転・未稼働の太陽光に対する措置

太陽光発電パネル

そんなわけで、未運転・未稼働の太陽光に関わる問題は広く知られるようになり、高額買取時の認定を利用して利ザヤを稼ごうとする動きには厳しい目が向けられるようになってきています。

そして、そうした問題を解決するために検討されている措置が、FITの制度見直し。「未稼働のままとなっている太陽光について、2019年3月末までに電力会社の送電網への接続工事申し込みが受理されなかった場合は買い取り価格を減額する」というものです。

この措置に関する方針はすでに総合資源エネルギー調査会分科会では了承されており、このまま通る可能性はかなり高いと言えるでしょう。そこで懸念されているのが、「2019年3月末に向けて、接続工事申し込みの駆け込み需要が殺到するのでは」ということです。

「接続工事の申請程度なら、それほど手間も時間もかからないだろう」と思われるかもしれませんが、未運転・未稼働の太陽光の数は予想以上に膨大です。事実、買取価格が高額だった2012年度~2014年度の3年間に認定された事業用太陽光(10kW以上)のうち、以下の割合が未稼働となっているのです。

  • 2012年度:335万kW(23%)が未稼働
  • 2013年度:1284万kW(49%)が未稼働
  • 2014年度:733万kW(59%)が未稼働
  • ※2018年10月発表のデータ

これほどの未稼働が残っているとなると、接続工事申し込みの申請殺到によって受理等の手続きの遅れが生じ、トラブルが起こる可能性はないとは言えません。4月1日になってしまえば、得られる利ザヤに大きな差が出てしまいますから、2012年度~2014年度の間に認定を得た業者側としては、いち早く運転・稼働させるための動きを始めるべきと言えるでしょう。

売却を検討するのもひとつの手

太陽光発電の権利を未運転の状態で抱えているなら、いち早く運転・稼働することが求められますが、それだけではなく「太陽光の権利を売却する」というのも、ひとつの考え方です。前述のとおり、未運転・未稼働の太陽光に対する厳しい措置がなされる予定はもう目の前に来ていますから、稼働させるにしろ、売却するにしろ、迷っている時間はそれほどありません。

長く迷えば迷うほど措置開始の日は近づき、その分、売却では不利になっていきます。「今すぐにでも稼働のための準備を進めることを具体的に考えている」という状態でない場合は、売却についての検討を早めることをおすすめします。