太陽光発電事業の将来性は?

このページでは、改正FIT法・ZEHの普及・パリ協定が太陽光発電投資に与える影響から、太陽光発電事業の将来性を検討しています。

確実に利益が上がるとは言えなくなった太陽光発電事業

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もともと太陽光発電投資事業の魅力は、決まった価格で電力を買い取ってもらえる「固定価格買取制度(FIT法)」にありました。しかし、売電時の固定買取価格を定めたFIT法は、2017年に改正。現在では、入札で売電価格が決まる仕組みとなり、「確実に利益が上がる」とは言い切れなくなっているのです。

では太陽光発電投資は、このまま利益が上がりにくい事業になってしまうのでしょうか?日本では、政府によるネット・ゼロ・エネルギーハウス「ZEH(ゼッチ)」の後押しや環境問題に関する国際協定「パリ協定」などの影響で、太陽光発電システムに対する需要が高まっています。 投資目的でない太陽光発電事業は、より必要とされているのです。「改正FIT法」「ZEH」「パリ協定」が太陽光発電事業に与える影響について、より詳しく見ていきましょう。

FIT法の改正で太陽光発電事業はどう変わる?

売電価格を固定化させる固定価格買取制度(FIT法)に改定が加えられ、2017年から施行されたのが改正FIT法。これにより、太陽発電事業は「確実に儲けられる手段」ではなくなりました。改正FIT法で変わったポイントは大きく3つあります。

  • 事業計画認定を受ける必要がある
  • 未稼働事業者の固定価格での買取期間が短縮される可能性がある
  • 入札制度が開始される

事業計画認定を受ける必要がある

FIT法以前から太陽光発電所を所有しており電力会社と接続契約を結んでいる事業者は、これまでの「設備認定」と呼ばれていたものに代わり「事業計画認定」を提出することで、新制度のもとでもそのまま事業を継続することができます。改正FIT法の施行以降に太陽光発電事業に参入した事業者は、最初から事業化計画認定を提出することが可能です。事業計画認定を提出しないと運用停止になってしまうこともあるので要注意。

事業計画認定では、太陽光発電所の保守点検や維持管理の状況、事業終了後の設備撤去予定などがチェックされます。これらの項目において基準を満たしていないと、改善命令を下されたり認定が取り消されたりすることに。認定が取り消されると固定価格で電力を売ることができなくなってしまいます。これまで以上に太陽光発電システムを厳格に管理する必要があるのです。専門の業者ならともかく、一般の投資家が太陽光発電を利益が出る状態に管理し続けるのは難しいでしょう。

未稼働物件の買取期間が短縮される

改正FIT法では事業計画認定を取得してから運転を開始するまでの期限が設定されています。10kW以上の発電所だと3年、10kW未満の発電所だと1年です。この期間を越えても太陽光発電システムを稼働させていない場合、未稼働の期間が固定買取価格で買い取ってもらえる期間からマイナスされます。もしも、ランニングコストが見合わないからといって太陽光発電システムの稼働を止めていると、気が付いた時には固定価格で売却する権利まで失っているかもしれません。

入札制度が開始される

これまでFIT法における固定の売電価格は政府が決めていました。しかし、改正FIT法では「入札制度」が採用されています。入札制度は各発電事業者が、希望する1kWhあたりの売電価格を提示し、安い価格を示した事業者から優先に政府に電力を買い取ってもらえる仕組み。入札の前に上限価格が設定されており、これより高い価格で入札することはできません。2017年に行われた第一回入札での上限価格は21円/kWh。各事業者は21円/kWhよりも安い価格を提示して売電の権利を争うことになるのです。

入札制度は、2000kw以上の産業用太陽光発電システムを所有する事業者のみを対象として行われている制度ですが、今後は2000kw未満の太陽光発電に対しても導入される可能性があります。ランニングコストをできるだけカットした効率的な運用が求められる太陽光発電事業。プロ以外の投資家が利益を上げるのは、どんどん難しくなってきていると言えそうです。

ZEH(ゼッチ)によって太陽光発電の需要は増える?

太陽光発電システムの需要は、政府によるZEH(ゼッチ)の推進にともなって増えることが期待されます。ZEHとはネット・ゼロ・エネルギーハウスのこと。エネルギー消費量がプラスマイナスゼロになる家を意味します。生活するうえでエネルギー消費をゼロにすることは不可能なので、ZEHの家にするには消費分を賄いプラスにするための発電システムが必須。太陽光発電はZEHにおける家庭用の発電システムとして注目されています。

投資向けの産業用太陽光システムを、個人が家庭用に購入することは考えにくいですが、分譲住宅や集合住宅をZEHとして建築するにあたって、産業用太陽光発電を購入・導入する業者は現われるでしょう。政府では2020年までに標準的な新築住宅をすべてZEHにすることを目標に掲げて、ZEHの住宅を建てる人に補助金を出しています。ZEHを推し進める国の政策に後押しされ、太陽光発電の需要は今後も拡大していくことが予想されます。

太陽光発電事業の需要を高めるパリ協定とは?

地球環境保護のための取り決めである「パリ協定」により、日本国内の太陽光発電に対する需要は高まるでしょう。日本を含む世界各国が、二酸化炭素の排出量を削減し、地球温暖化を防ぐ目的で取り結んでいるのがパリ協定です。パリ協定を守るため、日本は二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーのシェアを拡大する必要があります。政府もこれを後押しすることは間違いありません。パリ協定があるかぎり、日本における太陽光発電の需要は増加し続けると予想されます。

太陽光発電の将来性を踏まえた6つの対策

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改正FIT法によって太陽光発電は投資目的から外れつつありますが、ZEHやパリ協定の影響からも注目されており、将来を予測して今後の対応を検討しておきましょう。

改正FIT法からの自家消費

2019年問題で電気小売事業者の買取義務がなくなるため、売電価格の単価が下げられる可能性が高いです。そうなると利益追求が難しい状態になり、自家消費が推進されるようになります。自分で作った電気を自分の生活に使う。需要と供給が成立するこの仕組みは、売電ロスを減らす有効な手段として挙げられています。

既に静岡県浜松市では、浜松スマートシティとして自家消費の実験検証が行われています。平成25年のエネルギービジョン調査では、太陽光発電の生産可能量は299万MWh/年、利用可能量は119万MWh/年、23.1%利用可能量で賄えるとの結果が示されています。

平成28年度現在の大型発電所数は36基あり、発電出力合計も約56,000Kw、平成26年度10Kw以上の設備導入件数は全国1位です。このように自家消費へ向けて動き出している地域もあり、個人や企業を問わず無駄なく太陽光発電を利用できるシステムへの期待が大きくなっています。

蓄電システムの活用

自家消費を進める上で欠かせない蓄電システムは、豊かな暮らしや万が一の備えとして使うことができます。例えば災害(地震や台風)の発生で停電した場合でも、蓄電しておけば電気の心配はありません。スマホやタブレットの充電、冷蔵庫や洗濯機の使用もできます。

過去の震災で電気が復旧したのも1~3日程度必要だったことから、備えておけば復旧作業が完了するまで耐えられるでしょう。オール電化であれば蓄電システムの恩恵は大きく、災害の影響でガスの供給がストップしている状態でもお風呂を沸かせます。

電気自動車やハイブリット車のコスト削減

太陽光発電をハイブリット車に使えば、走行時のバッテリーに使われる電力を補えるためガソリン代の節約になります。電気自動車であれば充電ステーションが自宅にあることで、出かける前にいつでも充電を満タンにしておけます。

ガソリン車の石油価格は世界情勢によって変わりますが、自家消費として電気自動車やハイブリット車に利用すれば安定的なコスト削減に繋がります。

ZEH関連事業への補助金

ZEH関連事業普及のため、環境省・国土交通省・経済産業省が連携して補助金制度を作っています。環境省は低炭素化促進事情の1つとして、非営利法人を対象とし、戸建・分譲集合・賃貸集合住宅の建築やリフォームについて定額の補助が受けられます。

国土交通省は地域型住宅グリーン化事業。経済産業省は省エネルギー投資促進に向けた支援補助金とし、平成30年度は約600億の予算を計上しています。

ZEH支援事業

  • 戸建住宅:ZEH+115万円/件 
  • 蓄電システム3万円/KWh(上限45万円または補助対象経費の3分の1)
  • 集合住宅:ZEH+70万円/件 
  • 蓄電システム3万円/KWh(上限30万円または補助対象経費の3分の1)

対象となる条件等は考慮されますが、ZEH推進に力を入れていることは間違いありません。そのため、これから住宅を建てる予定の人や、既に建て終わっていてもリフォームを検討している場合、申請をすることで補助を受け取ることも可能です。

発送電分離

2015年改正電気事業法によって、2020年から発送電分離方式となります。そのため一般送配電事業者や送電事業者は、小売や発電ができなくなります。電力の自由化を目的とし、送配電網を持っていない事業者であってもビジネスへの参入が可能となります。

太陽光発電の規模によっては、売電における利益を得られることも。ただ、コスト面においては高くなる可能性もあるので、一概に手放しでは喜べません。実際に始まってからしかわからない部分もありますが、発送電分離を進める上で電力会社は事業を分割して、新しく会社を立ち上げる動きもあるようです。

太陽光発電所の売却

将来的に太陽光発電の自家消費や売電の利用見込みがない場合は、思い切って発電所を売却する方法を検討してみるのもオススメです。持ち続けることになれば、システムの劣化や故障など管理上のデメリットも生じてきます。高値で売れるうちに手続きをしておけば、多くの損益も発生しません。

売却すると、今後入ってくるであろう利益を逃してしまうようなイメージも膨らみますが、自分で対応できないなら手放したほうが正解です。個人での取引はトラブルが起こる可能性もあるので、売却の際は専門業者へ査定を依頼し、納得できる価格で買い取ってくれる事業者を選びましょう。