ここでは、太陽光発電協会が策定した太陽光発電の「評価ガイドライン」についてご紹介します。新規での設備建設を予定している方にとっても、現役のオーナーにとっても、また中古市場で売却をしようとお考えの方にとっても、太陽光発電に関わる方々にとってガイドラインは非常に有益な基準です。
2018年6月、太陽光発電協会が主体となり、「太陽光発電事業の評価ガイド」を策定しました。一般に、太陽光発電の「評価ガイドライン」と呼ばれています。
太陽光発電設備については、かねてより地域住民とのトラブルが絶えませんでした。安全性、景観、環境への影響が懸念されたためです。
これらトラブルに対して太陽光発電協会は、設備の技術的な面はもとより、土地や土木、法令なども含めた太陽光発電の事業全般の基準になるものとして、評価ガイドラインを策定しました。
太陽光発電投資の評価ガイドは、安全で持続性の高い事業の実現と、地域住民との共生を目指すための評価制度です。太陽光発電投資では、高い収益性だけでなく安全性や継続性、地域との共生なども実現しなくてはなりません。そのためには、さまざまな視点から設備・事業全体を判定する評価ガイドラインが必要なのです。
評価ガイドラインには土地や構造関係をはじめ、土木や金融などさまざまな分野の専門家が参画しています。評価ガイドラインに従うことでリスクの把握や対策がしやすくなり、結果的に設備の安全性や長期的な収益性の担保につながります。
※参考資料1【太陽光発電事業の評価ガイドについて】:太陽光発電事業の評価ガイド策定員会・事務局 一般社団法人 太陽光発電協会
評価ガイドラインが策定されたメリットとして、主に以下の2つが挙げられるでしょう。
2019年3月、日本で初めての「FIT認定取り消し」という事例が発生しました。取り消しの理由は、太陽光発電に関連する法令に違反したことです。
この事例においては、オーナーに違反の自覚があったようですが、中には違反であることを自覚せずに設備を運用しているオーナーもいるようです。「FIT認定取り消し」を始めとした各種のリスクを知り、かつ事前に対策を打つために、評価ガイドラインは非常に有効な基準となることでしょう。
太陽光発電設備を中古市場で売買する際、客観的な共通指標となるガイドラインがあれば、市場の透明性に貢献することでしょう。市場で透明性と客観性が維持されれば、より中古市場の拡大が期待されます。
上で説明した「評価ガイドライン」を参考に、中古太陽光発電所の評価手続きの内容について見てみましょう。
公図マップと登記簿謄本の突き合わせを行ったり、書類の有無や内容の確認などを行います。また土地に関する評価に関連し、地域住民と面談を行ったり、地元警察・消防を訪ねたりすることもあります。
仕様書や保証書、マニュアルなどの確認作業が中心となります。あわせて設備の現地にて、崩落の兆候や排水路の状況、基礎の入り込み状況、表層土の状況などについて確認します。
仕様書や保証書、マニュアルなどの確認作業が中心となります。O&M契約を交わしている設備については、記録書類の確認や、過去の故障・メンテナンスの履歴などの確認を行います。
会計データと事業計画の突き合わせや、税務関連の届出書・計算書などの内容確認を行います。
評価ガイドの内容は、土地・権利関係や構造関係、発電システム関係などさまざまな項目に分かれています。項目の一例は、以下のとおりです。
「土木・構造関係の評価」では、地形や地盤など土木に起因するリスク、架台やアレイ、基礎など構造に起因するリスク、設備が設置される建物に起因するリスクなどを想定したうえで各部分が評価されます。評価制度では各記録による確認と現地調査が行われ、その結果によって施工の妥当性が判断されます。
発電所の運用に関わる権限の妥当性や、事業計画の妥当性が判断されます。くわえて、法令によって定められている必要な手続きに抜けがないか否かも確認されるのがポイント。
設計や施工・運用するにあたって不備がないかを評価する項目です。接続契約の書類のほか、電気配線図や竣工計画書、保守点検の実施記録といった書類をもとに1次評価が実施されます。その後、2次評価として書類と現地を照らし合わせた現地確認へ移ります。書類が確認できなかったり、記録と現況に齟齬があったりした場合、設計や竣工の妥当性が確認されます。
太陽光発電評価ガイドラインには細かい評価項目が設けられています。項目が複雑になってチェックが不十分にならないよう、太陽光発電協会(JPEA)から用意されているのが「簡易チェックシート」です。大まかなイメージを掴むために、まずはこの簡易チェックシートを確認しておくとよいでしょう。簡易チェックシートは、以下のような内容で構成されています。
※参考資料2【太陽光発電所 簡易チェックシート】:一般社団法人太陽光発電協会 一般財団法人再生可能エネルギー保全技術協会
ガイドラインの登場は、これから太陽光発電事業を試みる方にとっても、売却して事業から撤退する方にとっても、非常に有効な基準となることでしょう。中古市場の拡大から、太陽光発電はますます活況を呈していくかも知れません。
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