太陽光発電所の台風被害

台風

地球温暖化が原因とされる日本の亜熱帯化で、勢力が弱まらないままに本州に上陸する傾向が強くなってきた台風。その被害は農作物だけでなく、土砂災害、浸水被害、そして太陽光発電所にも及んでいます。災害時でも利用できる電力源として期待されている太陽光発電所ですが、その立地や猛威の影響で使えないこともしばしば。ここでは過去の事例をもとに、太陽光発電所と台風について検証します。

台風が太陽光発電所に及ぼす甚大な被害とは

直近の台風による被害事例

これまでは風による被害が多かった太陽光発電所は、台風による大雨で引き起こされた地盤崩れで基礎部分ごと流されていく被害も多発しています。また発電システムなので漏電やショートの危険性は常にあります。2019年の台風15号では、千葉県の山倉ダムの水上に浮かぶソーラーが破損。台風後は送電を一時中断していたがパネルに日光が当たると自家発電するため、火災の危険性が出てきたので監視が強化されました。

気象庁の統計によると2014年以降は台風が上陸する件数が年4件を超え、2019年は5個の上陸が確認されました。強い勢力のまま長時間停滞する傾向が強くなっており、2019年は9月、10月に大型台風が上陸、各地に甚大な被害をもたらしました。太陽光発電所の維持管理において、台風対策は急務と言えます。

太陽光発電が台風で飛ばされたら何が起こる?予防策は?

長時間暴風雨にさらされた場合、太陽光発電所はパネルや設備全体が吹き飛ばされることがあります。とくにここ4~5年での台風の強大化は予想をはるかに超えるもので、2009年頃の太陽光発電所設置時には想定していなかった事態と言えるでしょう。

補強対策をとっても自然の猛威には勝てないことも。飛ばされたパネルか架台などが近隣住宅や人にぶつかり、被害を及ぼした場合は基本的には保険による補償が必要。無保険のままだととてもリスクが高いです。また発電システムなので故障のまま放置すると漏電やショートが起こり、火災の危険性があります。

予防策ですが、災害被害に遭いにくい場所に設置するのが一番です。しかし災害相手では確約された安心はありませんので、設置面の補強やパネル飛散予防なども必要です。施工業者に任せきりではなく、販売業者や保険会社との綿密な連携のもと、予防策を構築するのが最善の方法と言えます。

太陽光発電が台風で被害にあった場合の補償は?保険はおりるの?

破損をそのまま放置していると二次災害が起こる可能性が高くなります。まず保険会社に現状確認をしてもらい、急ぎ修繕工事に取り掛かりましょう。

気になる修繕費用ですが、加入している保険によって違います。通常の火災や損害保険では補償対象になるかどうか不明瞭な点も。太陽光発電向けの保険に加入することをおすすめします。人身事故に発展した場合は自然災害補償の対象とならないので、別途傷害保険に加入しましょう。とくに街中に発電所を設置する場合は必須と言えます。

一般的な保険補償範囲を紹介します。

火災保険 動産総合保険
風災(台風など)、雹災、雪災
火災、破裂・爆発、落雷
水災(暴風雨や豪雨など)※津波は対象外
電気的・機械的事故 ×
不測かつ突発的な事故(物体の飛来・衝突など) ×
盗難 ×
火災保険 風災(台風など)、雹災、雪災 火災、破裂・爆発、落雷 水災(暴風雨や豪雨など)※津波は対象外 電気的・機械的事故 不測かつ突発的な事故(物体の飛来・衝突など) × 盗難 ×
動産総合保険 風災(台風など)、雹災、雪災 火災、破裂・爆発、落雷 水災(暴風雨や豪雨など)※津波は対象外 電気的・機械的事故 × 不測かつ突発的な事故(物体の飛来・衝突など) 盗難
  • 被害が補償対象になるかどうかやその範囲、適応条件は保険会社や契約によって違います。
  • 地震や津波が原因となる事故は、地震保険や津波保険などの特約が必要です。

太陽光発電のメーカーは日本国内に限りません。海外メーカーの製品であれば強度テストは現地の基準でなされていることが多く、設置個所の気候条件に合致しているかは都度確認が必要です。台風の勢力が段違いに増している近年は、すでに稼働している太陽光発電システムの強度に合わせて保険の見直しも必要でしょう。

過去にあった台風による被害事例

  • 暴風で太陽光パネルや発電設備が飛ばされる
    飛散物が車や家屋にぶつかり、破損事故を起こすケースが多発しています。
  • 暴風や地崩れで基礎部分が架台が破損する
    パネル自体は発電できる状態なら、漏電やショート事故が起こる可能性が高いです。発生したスパークが落ち葉に引火した事例があります。
  • 電気系統が水没・故障することで漏電やショートが起きる
    発電機能に損傷がないことが多いため、火災につながることが懸念。漏電に気づかず接触すると感電事故に発展するため、経済産業省は公式ツイッターで注意喚起をしています。

台風被害を防ぐための対応策

台風被害を防ぐための最大の対応策となるのは「架台と施工品質を重視している業者を選ぶ」ということです。

まず、架台について。架台は、太陽光発電の台風被害を防ぐ大きなカギとなる存在です。

実は太陽電池モジュール自体は、多くのメーカーが強大な風圧にも耐えられるだけのものを開発しているのですが、それを支える肝心の架台が貧弱な状態だと、台風で架台そのものがやられてしまい、太陽光発電システムが破損してしまうリスクが大いに高まるのです。

ですから「太陽電池モジュールの性能だけでなく、架台の耐風性能についてもしっかりと考えている業者」を選びましょう。架台の耐風性能について問い合わせ、資料やデータをもとにすぐに答えられるかどうかを確かめてみるのがおすすめです。

また、架台をしっかりとしたものにするには、架台にもそれなりに費用をかけることが必要です。「コミコミ価格でお得」など、割安なパッケージ価格にしている業者の場合、貧弱な架台でコストダウンをしているケースも少なくないので特に注意が必要です。

架台については「地面スレスレになるような設置をしない」という点も注意が必要です。地面スレスレだと風の通りが悪くなる分、同じ風圧でも被害が出やすくなります。雑草むしりなどのメンテナンスや積雪・浸水リスクなどを考えても、多少の高さは必要です。

具体的には「一番低いところでも、地面から最低60cm以上の高さがあること」を目安としましょう。もちろん豪雪地帯で雪がそれ以上に積もることが考えられる地域などは、言うまでもありませんがさらなる高さが必要です。

次に、施工品質について。いくら太陽電池モジュールや架台そのものが立派でも、施工がいいかげんだと、その施工品質の悪さが原因で「台風で架台から太陽電池モジュールがはがれる」などという事態が起こる可能性もあります。

「施工に関して自社で長期保証を用意している」など、施工品質にも自信を持っている業者を選びましょう。

台風被害にあってしまった場合に売却できるかどうか

台風被害にあってしまった太陽光発電の売却は、基本的には難しいケースが多いと言わざるを得ません。中古の太陽光発電を売却できる手段そのものはありますが、買い取ってもらうためには「きちんと稼働すること」が大前提となります。

ですから「架台は多少被害にあったが、太陽電池モジュール自体は無事」などという場合であれば、売却できる可能性は大いにあると言えますが、台風被害により稼働しなくなった太陽光発電の売却はきわめて困難です。

さらに、不稼働となった太陽光発電は廃棄にかかる費用まで考えなければなりません。

太陽電池モジュールにはメーカー保証がついているものの、これはあくまで製品の品質や出力に関する保証であり、自然災害は対象外となります。さらに業者の施工保証についても「施工が原因となる瑕疵」などが対象で自然災害はほぼ対象外となりますので、これらの保証制度では台風被害はカバーできません。

では台風被害による金銭的リスクを避けるためにはどうすればいいかというと、「太陽光発電の自然災害補償に加入している業者を選ぶ」ということが大切です。

住宅用太陽光発電なら住宅用火災保険で損害をカバーできますが、土地付き太陽光発電などの事業用太陽光発電については、太陽光発電の販売業者側が自然災害補償に加入していないと台風被害の補償はされないのです。

この点を理解し、業者側に自然災害補償加入の有無も必ず確認しておきましょう。

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