中古太陽光発電所の適正価格について

太陽光発電所を売却する場合、その価格はどのように設定されているのでしょうか?中古の太陽光発電所について、どのような項目が価格に影響を与え、どのように価格を設定すればよいのか等お伝えしていきます。

中古の太陽光発電所は大きく5つの項目で価格が決まる

中古の太陽光発電所はどのように価格が決まるのでしょうか?

中古の太陽光発電所については、主に以下のような項目により価格が決定されます。

  • 売電実績
  • 固定買取価格
  • 残固定買取期間
  • 立地
  • 土地の権利形態

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.売電実績

まず、太陽光発電所を設置してから現在までの間にどのくらい売電されているのか、月額の平均はいくらくらいになるのかを確認しましょう。

固定買取価格については、法律で決められていますが、実際にどの程度発電するかについては設置されているエリアや周辺の状況(陽を遮るものがないかなど)により異なります。

なお、新築についてはこうした売電価格について、想定でしか分からないのですが、中古の太陽光発電所は過去の売電実績がある点がメリットです。

中古の太陽光発電所を売却する場合、買い手側に売電実績をしっかり提示できるよう準備しておきましょう。

2.固定買取価格

固定買取価格については、設置した年度により異なります。

年度ごとの固定買取価格は以下の通りです。

2018年度以降固定買取価格(産業用)

  500kW以上(入札制度適用区分) 10kW以上500kW未満
2018年度 2,000kW以上 2,000kw未満 18円+税
入札制度により決定 18円+税
2019年度 入札制度により決定 14円+税
2020年度 - -
2021年度 - -
固定期間 20年間

2018年度以降固定買取価格(住宅用)

  出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり
2018年度 26円 25円 28円 27円
(ダブル発電) (ダブル発電)
2019年度 24円 26円
2020年度 -
2021年度 -
買取期間 10年間

2017年度以前固定買取価格

年度 住宅用 産業用
2009年以前 24円程度で自主買取
2009年 48円・10年間 24円程度で自主買取
2010年 48円・10年間
2011年 42円・10年間
2012年 42円・10年間 40円+税・20年
2013年 38円・10年間 36円+税・20年
2014年 37円・10年間 32円+税・20年
2015年 33~35円・10年間 29円+税・20年
2016年 31~33円・10年間 24円+税・20年
2017年 28~30円・10年間 21円+税・20年

3.残固定買取期間

残固定買取期間基本的には、高い買取価格で契約できているほど売却価格が高くなります。

固定買取期間は、住宅用については10年間、産業用については20年間となっています。

設置してから年数が経っている場合、買主残りの買取期間により受け取れる金額が異なります。

基本的には、残固定買取期間が長ければ長い程売却価格が高くなります。

4.立地

どのエリアに太陽光発電所を設置しているか、また周辺の環境がどうなっているかによって売電量は変わります。

例えば、都道府県ごとに平均発電量を示したデータを見てみると、以下のようになっています。

順位 県名 平均 平均
発電量 稼働率
(kWh) (%)
1 山梨県 1,436 16.39
2 長野県 1,427 16.29
3 徳島県 1,373 15.67
4 静岡県 1,368 15.62
5 群馬県 1,366 15.6
6 愛知県 1,361 15.54
7 高知県 1,358 15.5
8 三重県 1,352 15.44
9 宮崎県 1,337 15.27
10 岐阜県 1,320 15.07
11 香川県 1,305 14.89
12 茨城県 1,298 14.82
13 埼玉県 1,293 14.76
14 和歌山県 1,291 14.74
15 沖縄県 1,290 14.72
16 鹿児島県 1,290 14.72
17 栃木県 1,287 14.69
18 兵庫県 1,279 14.6
19 岡山県 1,276 14.56
20 長崎県 1,274 14.55
21 神奈川県 1,273 14.53
22 佐賀県 1,270 14.5
23 滋賀県 1,269 14.48
24 熊本県 1,263 14.41
25 奈良県 1,262 14.4
26 東京都 1,258 14.36
27 山口県 1,251 14.28
28 千葉県 1,248 14.25
29 愛媛県 1,247 14.24
30 福岡県 1,242 14.18
31 福島県 1,231 14.06
32 大阪府 1,215 13.87
33 広島県 1,202 13.72
34 大分県 1,191 13.6
35 京都府 1,171 13.37
36 石川県 1,124 12.83
37 島根県 1,113 12.71
38 福井県 1,108 12.65
39 宮城県 1,105 12.61
40 新潟県 1,090 12.44
41 山形県 1,089 12.43
42 富山県 1,076 12.28
43 岩手県 1,070 12.21
44 北海道 1,064 12.15
45 鳥取県 1,055 12.04
46 青森県 1,027 11.73
47 秋田県 902 10.3
  全国平均 1,234 14.09

これは、南の地域は日照量と共に気温が高くなってしまうことが影響しており、余り高温になってしまうとソーラーシステムの稼働率が落ちてしまうことによります。基本的には日照量の多い南の地域程売電価格は高くなりやすいですが、15位沖縄県、14位鹿児島県、9位宮崎県と必ずしも南から順に効率がよいわけではないことが分かります。

ただ、北海道や東北地方の各県が低い発電量となっている通り、エリアによって発電量が大きく異なることに違いはありません。

また、周辺環境についてはソーラーシステムの設置の向きや、周辺の建物や自然の状況によります。

設置の向きについては、基本的には南向きに設置されたものが一番効率がよく、次いで東向き、南向きとなっています。

北向きについては発電量が低いだけでなく反射により近隣に悪影響を及ぼす可能性があることもあるため、メーカーによっては設置を禁止している場合もあります。

また、周辺に木や建物があると、時間によって、また季節によって日照時間が減ってしまう可能性があります。

なお、これらのいずれについても、過去の売電実績を見れば分かるので、しっかり資料を準備しておくだけでよいでしょう。

5.土地の権利形態

土地の権利が所有権なのか、借地権なのかによっても売買価格は異なります。

借地権であれば売却価格を安く設定することになります。

利回りを元に価格を設定する

太陽光発電所の価格に影響を与える5項目について把握したら、後は利回りを元に価格を設定します。

利回りの目安は固定買取期間の残期間にもよりますが、概ね10~15%程度で設定するとよいでしょう。また、設定する価格については以下の3パターン程度考えておくとよいです。

  • すぐに売れる価格
  • 通常価格
  • 高めの価格

それぞれの項目について解説していきます。

すぐに売れる価格

利回りをやや高めに設定してでも、すぐに売れる価格を考えてみましょう。ここでは、残固定買取期間15年の太陽光発電所について、利回り15%程度で設定することを想定します。

年間の売電収入が300万円の場合、売却価格を2,000万円に設定すれば年間利回り15%になります。

通常価格

売却を急ぐ必要はないけれど、何カ月も売れない期間が続くのは困る、という場合に設定する価格です。

残固定買取期間15年の太陽光発電所について、利回り12.5%程度で設定すると、年間の売電収入が300万円であれば、売却価格は2,400万円になります。

高めの価格

売却に時間がかかっても構わないけど、できるだけ高い価格で売却したい、という価格を考えましょう。

ここでは、残固定買取期間15年の太陽光発電所について、利回り10%程度で設定することを想定します。

この場合、年間の売電収入が300万円であれば、売却価格は3,000万円になります。

すぐに売れる価格 通常価格 高めの価格
利回り 15% 12.5% 10%
売電収入 300万円/年 300万円/年 300万円/年
残固定買取期間 15年 15年 15年
売却価格 2,000万円 2,400万円 3,000万円

それぞれについて、価格を設定したら、最初は通常価格で売却を始め、売れそうになければすぐに売れる価格に変更するなどしてもよいでしょう。

問い合わせはあるけど売却が決まらない場合のチェックポイント

太陽光発電所について、適正価格を設定されていれば、問い合わせの件数は自然と増えていくものです。しかし、なかには問い合わせはあるけど、なかなか売買が決まらないという物件もあります。

単なるタイミングの問題の可能性もありますが、別の問題があることも。そのような場合には以下のような項目をチェックしてみるようにしましょう。

  • 雑草をチェックしよう
  • 維持管理契約をチェックしよう
  • フェンスは倒壊していないかチェックしよう

この3項目がどんな影響を与えるのか、それぞれについて解説していきます。

チェックポイント1:雑草をチェックしよう

現地に雑草が生えているようであれば、残さずきれいにしておくようにしましょう。

夏場などは1週間もすればまた生えてきてしまうこともありますが、売却期間中はできるだけ頻繁に現地に足を運び、草を除去しておきましょう。

土地が広い場合には業者に依頼するのも一つの手です。草の残りが見られるようであれば業者に連絡して草を刈ってもらい、雑草のないキレイなじょうたいを保ちましょう。

雑草自体は、太陽光の発電量に大きな影響があるわけではありませんが、現地に草が残っていると、きちんとメンテナンスされていない発電所なのではないかと思われます。そのため、売却が決まらない要因のひとつになることもあるのです。

チェックポイント2:維持管理契約をチェックしよう

太陽光発電所の維持管理契約を結んでいる場合、その手数料が高すぎないか確認しましょう。

管理手数料については、5%~8%程度に抑えられるのが望ましいです。

売却前に、維持管理契約の内容と、契約先の見直しも検討します。

維持管理契約の内容については、どこまでサポートしてくれるか次第ですが、最低限依頼したいのは、現地の草刈りと緊急時のサポートです。サポートがあまりないうえに、手数料が高ければ買い手としては避けてしまいます。

チェックポイント3:フェンスは倒壊していないかチェックしよう

フェンスが倒壊している場合は、すぐに取り換えさせるようにします。

こちらも草刈と同様、実務上問題ないケースでも、見た目に悪く、メンテナンスされていないことを想定させてしまうため、必ず全ての箇所をチェックするようにします。

まずは利回りから適正な売却価格を設定しよう

太陽光発電所の購入を検討される方は投資目的であることが多いので、投資した金額がどのくらいの期間で回収できるのかを表す利回りを元に価格を設定していくのが基本となります。

その他、本記事でご紹介したような固定買取価格や残固定買取期間などを参照し、周辺相場や過去の成約価格などを見ながら価格を設定するとよいでしょう。

投資は売却までを含めたトータルでパフォーマンスが決まります。少しでも高い価格で売却できるよう、しっかりリサーチと準備を行うようにしましょう。