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太陽光発電の買取価格が半額に!いつから売電できなくなる?

太陽光発電所は固定価格買取制度により、購入から一定期間については毎年固定された売電価格にて発電した電力を売電できます。しかし、今後の問題として、売電ができなくなる可能性があるのでは?という声を耳にする機会が増えてきました。

ここでは、そもそも太陽光発電の固定価格買取制度がどういった内容なのか、期間経過後の取り扱いはどうなっていくのかについて解説しています。

そもそも固定価格買取制度とは?

固定価格買取制度とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のことで、再生可能エネルギーで発電された電力を電力会社が「一定期間で一定期価格で買い取ることを法律で定めたもの」です。Feed-in Tariffの頭文字を取ってFITと呼ばれることもあります(Tariff(タリフ)とはエネルギーの売り渡し価格のこと)。

再生可能エネルギーには以下の5つのエネルギーが該当します。

  • 太陽光発電:太陽の光エネルギーを太陽電池で電気に置き換える
  • 風力発電:風の力で風車を回してその回転運動を発電機に伝えて電気に起こす。
  • 水力発電:河川などの高低差を利用して水車を回し発電する。
  • 地熱発電:地下に蓄えられた地熱エネルギーを蒸気や熱水で取り出しタービンを回して発電する。
  • バイオマス発電:動植物などの生物資源(バイオマス)をエネルギー源にして発電する。

本記事ではこの5つのエネルギーの中でも、太陽光発電にテーマを絞って解説していきます。

固定価格買取制度の原資は?

固定価格買取制度のおかげもあり、発電所を設置している個人や事業者は、実際の売電価格より大きな額の売電価格を手に入れられますが、その原資はどこから来ているのでしょうか?

実は、固定価格買取制度の原資は、発電所を設置しているかどうかに関わらず、全ての人に対し課される「再エネ賦課金」によりまかなわれています。再エネ賦課金とは、毎月の電気料金の支払いの際、通常の電気料金にプラスして徴収されるもので、毎月の電気料金明細を確認するとその額を見ることが可能です。ある意味で、日本国内で電気を利用している全ての人が、発電所を付けている人に対し、お金を捉えることもできます。再エネ賦課金は以下の計算式で算出されます。

再エネ賦課金=使用した電気料(kwh)×2.95円

産業用と住宅用の2種類がある

太陽光発電については、その制度が産業用と住宅用とで異なっています。

産業用の太陽光発電は、発電力が10kwh以上あり、広い土地の上にソーラーパネルを設置して太陽光発電所を指すこと多いです。また、10kwh以上500kwh未満、500kwh以上2,000kwh未満、2,000kwh以上でそれぞれ買取価格が異なります。産業用の太陽光発電は、買取期間が20年と長めに設定されていることもあり、住宅用と比べて買取価格は若干低めです。

住宅用の太陽光発電とは、10kwh未満の発電所のことで、主に住宅の屋根の上に設置した発電所を指します。買取期間が10年と短い代わりに産業用のものと比べて買取価格が若干高く設定されています。10kwh程度であれば住宅の屋根に乗せられるため、住宅の屋根に載せた太陽光発電でも産業用にしているものも。10kwh以上の太陽光発電所については、産業用にするか住宅用にするか選べます。

また、産業用と住宅用の違いとして、住宅用の太陽光発電については「余剰買取制度」といって、発電したエネルギーを住宅内で使用した後、余った電気を売却します。一方、産業用については全量買取制度といって、発電したエネルギーをそのまま発電所に売却。そのため、余剰買取制度を利用する場合には、メーターを2つ設置しなければならないといった違いもあります。

太陽光発電の買取価格

固定価格買取制度は、基本的に年度ごとに変更されます。太陽光発電の固定価格は以下のように設定されているので、参考にしてみてください。

2018年度以降固定買取価格(産業用)

500kW以上(入札制度適用区分) 10kW以上500kW未満
2018年度 2,000kW以上 2,000kw未満 18円+税
入札制度により決定 18円+税
2019年度 入札制度により決定 14円+税
2020年度 - -
2021年度 - -
固定期間 20年間

2018年度以降固定買取価格(住宅用)

出力制御対応機器設置義務なし 出力制御対応機器設置義務あり
2018年度 26円 25円 28円 27円
(ダブル発電) (ダブル発電)
2019年度 24円 26円
2020年度 -
2021年度 -
買取期間 10年間

また、2017年以前の買取価格は以下の通りです。

年度 住宅用 産業用
2009年以前 24円程度で自主買取
2009年 48円・10年間 24円程度で自主買取
2010年 48円・10年間
2011年 42円・10年間
2012年 42円・10年間 40円+税・20年
2013年 38円・10年間 36円+税・20年
2014年 37円・10年間 32円+税・20年
2015年 33~35円・10年間 29円+税・20年
2016年 31~33円・10年間 24円+税・20年
2017年 28~30円・10年間 21円+税・20年

※住宅用の固定価格買取制度は2009年11月より、産業用の固定価格買取制度は2012年7月より実施されています。

固定買取期間経過後はどうなる?

先述の通り、固定価格買取制度は住宅用が2009年11月に、産業用が2012年7月より実施されており、2019年5月現在、これまで固定買取期間を経過した発電所はありません。しかし、2019年11月以降については、住宅用に2009年より発電所を設置した人から固定買取期間が終了する人が現われてきます。2019年に固定買取期間が終了する発電所は56万件とされています。

売電価格は11円/kwhが目安になる

固定買取期間終了した後は、売電価格は各電力会社が自由に決めることとなりますが、経産省が電力卸市場価格を基に11円/kwhを目安として設定しています。2009年に住宅用の太陽光発電を設置した人は48円/kwhで電力を買い取ってもらっているため、売電価格は4分の1以下に減少することに。元々、固定買取期間終了後の売電価格は24円/kwh程度を想定されていたため、太陽発電所を設置の際に業者から24円/kwhで説明を受けた方のショックは大きいでしょう。

この24円/kwhという数値は、先ほど表で示した2009年以前(もしくは産業用の2012年以前)をもとに設定されていたことから来ています。ですが、産業用の太陽光発電所については、一番早くて2012年7月の設置なので、固定買取期間を終えた初めての人が登場するのは2032年とまだ先の話です。売電価格は各電力会社が自由に定めるので、その時にどうなっているかは定かではありません。

買取制度が廃止されて売電できなくなる可能性もある?

将来的に買取制度が廃止された場合、売電ができなくなる可能性はゼロではありません。

2009年(もしくは産業用の2012年)から、2019年に至るまで固定価格買取制度は継続されていますが、その価格が大きく減少してきているのが分かります。また、固定期間終了後の買取価格については、経産省が目安を提示していますが、電力会社や経産省は制度についてはっきりとした方針を示していないのです。

ですが、2019年時点で20年間を固定期間とする産業用の太陽光発電について、まだ制度が続いていることから、少なくともこの期間が終了する2039年までは買取制度そのものが撤廃されることはないと考えられます。そのため、100%とは言えませんが、売電ができなくなる可能性は早くても2039年以降だと言えるでしょう。

住宅用の場合蓄電池の設置等で対処

住宅用で発電した電気は「余剰買取制度」といって、発電した電池の内使わなかった分を電力会社に売却する仕組みが取られています。自宅で消費する分については売電価格が変わろうと、運用の仕方に影響はありませんが、当初想定されていた24円/kwhであれば、まだ発電所として運営していくうまみがありましたが、11円/kwhとなれば、うまみはほとんどなくなります。

ですが、現在電力会社から買い取る電力の価格が19円52銭(東京電力/従量電灯A・B)。売電するよりも、自宅内で消費したほうがお得に電気を使える計算になります。ただ売電を目的とするだけでなく、余った電力については自宅で蓄えておき、太陽の出ていない夜や雨の日にでも発電した電力を自家消費できるよう、蓄電池の設置なども視野に入れるとよいでしょう。

固定買取期間を考慮した売却価格設定のポイント

固定買取期間終了後は、電力会社が自由に買電価格を設定できることをお伝えしました。経産省は、その目安として11円/kwhを掲げていますが、当初24円/kwh程度が想定されていたものが11円/kwhに下げられたように、将来どうなるか分かりません。

こうしたことを前提に、太陽光発電所を売却する場合、その残りの固定買取期間等を考慮して、以下の3つのパターンで売却価格を想定するとよいでしょう。

  • すぐに売れる価格
  • 相場程度の価格
  • やや高めの価格

それぞれについて、詳しく見てみましょう。

すぐに売れる価格

すぐに売れる価格の目安は、「購入から10年程度で元が取れる価格帯です。太陽光発電所をできるだけ早く売りたい、もしくは、最初は相場程度の価格に設定したものの、売れない場合に設定する価格として想定しておくのもよいでしょう。

例えば、年間200万円の売電収入がある場合には、2,000万円に設定します。固定買取期間が残り15年ある太陽光発電所であれば、運用から10年で投資額を回収することができ、残り5年間で1,000万円の黒字を見込めます。中古の太陽光発電所だからこそ、「売電額を想定できる」ということがメリットを活かした設定方法です。

相場程度の価格

少なくとも残りの固定買取期間で投資額を回収できるようにし、2~3年分以上は黒字となるよう設定する価格帯です。売却をそこまで急いでは無いけれど、「売却までどのくらいかかるか分からないのは嫌だ」という場合は相場程度の価格で設定しましょう。

例えば、年間200万円の売電収入があり、固定買取期間が残り15年ある太陽光発電所であれば売却価格を2,500万円程度に設定。買い手側が12~13年で投資額を回収し、残り2~3年で400~600万円程度の黒字を見込めるように設定するとよいでしょう。

やや高めの価格

最低限残りの固定買取期間で投資額を回収できるよう設定するとよいでしょう。成約まで時間がかかってもよいのでできるだけ高く売却したいという場合はやや高めの価格設定をします。

例として売電収入が200万円、固定買取期間の残りが15年であれば売却価格を3,000万円に設定します。固定買取期間中には投資額を回収できない価格に設定する場合は、残りの期間については暫定的に11円/kwhで計算するとよいでしょう。

例えば、固定買取期間中は200万円(2014年度取得、32円+税)で売電でき、固定買取期間終了後は80万円程度(11円)が想定される場合、売却価格を3,400万円に設定すると、回収できるまでにかかる期間は19年(残期間15年×200万円+5年×40万円)となります。

残りの固定買取期間を想定して売却価格を設定しよう

太陽光発電の固定価格買取制度について、過去からの推移とともにお伝えしました。固定買取期間が終了するのは、産業用の場合まだまだ先の話ですが、固定買取期間経過後は売電価格が大きく下がることが想定され、売却価格にも影響が及びます。

売却価格を設定する際は、本記事を参考に残りの固定買取期間がどのくらいで、投資額は何年で回収できるか、という視点で計算した上で価格を決めましょう。